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研究会メールマガジン第二号 (2025年10月13日)「理念と数値の両立:稲盛氏の実務的工夫に学ぶ」
理念と数値の両立:稲盛氏の実務的工夫に学ぶ
稲盛和夫氏は「盛和塾で学ぶだけでは意味がない、業績の伸長という結果を伴わなければ意味がない」と強調しました。フィロソフィを単に知識として知っているだけでは不十分で、言葉として唱えるだけでも意味はありません。本気で実践しようとすれば、損益計算書に落とし込み、数字に置き換えてこそ実効性を持つとしています。
売上が落ちたときは、損益計算書の勘定項目を細部まで徹底的に見直し、減らせる経費がないかを探る。一方で、営業、新製品開発、販売の工夫など、売上を伸ばすために朝から晩まで奔走する。稲盛和夫氏はこうした「売上最大、経費最小」を自ら実践してきました。そのために、損益計算書を細分化して月末締めから1週間以内に作成させました。眼光紙背に徹すると、数字は経営の実態をこと細かに語り、経営者に次の一手を考えさせると言っています。
この理念と数字を橋渡しする工夫は、アメーバ経営や京セラ会計学に結実しましたし、この仕組みを知っている方は多いと思います。しかし、社員が判断・行動に活用することで初めて成果を生みます。
稲盛和夫氏と共に働いた人々からのインタビューなどを通じて、稲盛和夫氏の実務的工夫について紹介していきたいと思います。今回の野村一氏のセミナーもその一環です。そして、この研究会設立の最大の目的であるフィロソフィを学ぶにとどめず、数字に落とし込み経営現場で実践するために、何が必要か、どんな課題があるのか、その課題をどのように解決するのかを皆さんと考えていきます。
(文: 青山敦)